Unlocking !シームレスバディⓇで障害者の秘めた能力の発掘・開花を実現!

会社紹介

2024年4月の法改正により、民間企業の障害者雇用率が2.5%に引き上げられました。社会では多様性や個性を尊重する動きが活発になりつつあり、一昔前より就業の選択肢は広がってきていると感じています。しかし一方で、18歳以上の障害のある方のうち、民間企業に雇用されている方はわずか6%ほどに留まっているという現状もあります。

障害者雇用が進まない要因の一つに、コミュニケーションの壁があります。障害のある方の能力や特性を企業がきちんと把握できていなかったり、合理的配慮のポイントが分からなかったりして「指示や指導が上手く伝わらないのではないか」と雇用を躊躇するケースが少なくないのです。この課題を解決するために、当社は障害者一人ひとりの持つ能力を可視化するクラウドサービス「シームレスバディ®」を開発しました。これは企業の合理的配慮の提供をサポートし、障害者の能力を開花させるサービスです。

「シームレスバディ®」という名前には、“障害のある方を切れ目なくサポートし続ける相棒でいたい”という想いを込めました。このサービスを通して「その人なりの自立の実現」と「地域共生の実現」という2つのビジョンの達成を目指していきます。

基本情報

ダンウェイ株式会社

〒211-0044
神奈川県川崎市中原区新城1-12-15
アムールスクエア新城201号

私はもともと、民間企業で総務人事系の仕事をしていました。障害者福祉とは全く無縁だった私が起業し、この世界に飛び込むことになったきっかけは、当時3歳の長男に重度の知的障害があると分かったことでした。その事実をすぐには受け入れられず、暗闇で立ち止まっているような状態のまま、時間と共に選択肢はどんどん狭まっていきました。さらに息子は保育園に通っていましたが、上手く受け答えができないために、周囲が勝手に「できない」ときめつけて、進級テストを受けられず、退園せざるを得なくなりました。私たちにはチャレンジする機会すらもらえなかったのです。障害があるというショックに加え、傷口に塩を塗られるような状態です。「私たちはこういう世界に踏み込んでいくのか」と、障害者を取り巻く環境の厳しさを痛感しました。

そんな私に前を向かせてくれたのは、近くで支えてくれた恩師、友人、家族や仕事仲間たちでした。背中を押してもらって「どうせ苦しいのなら、いちかばちか挑戦してみよう!」と決心し、障害者福祉が抱える課題を解決するためダンウェイを立ち上げました。

多くの課題の中で、特に問題があると感じたのは障害者雇用の実態でした。私が長年、人事総務として目指してきたものとは、かけ離れた世界だったのです。人事総務は、社員の能力や個性を考慮しながら、活躍できる場を用意する仕事でした。「この人は何が得意で何が苦手なのか」「どんな場所なら能力を活かせるか」などを見極めて配属を決め、制度や仕組みを構築していました。しかし、障害者雇用や福祉の世界には、そういった考え方がありませんでした。障害者というだけで、能力や個性を見ずに排除されてしまう場面に出くわすたび「これは何か違うのでは」という違和感でいっぱいでした。障害のあるなしに関わらず、チャンスやきっかけは平等に与えられるべきです。そういう世界を実現したいと考えて「シームレスバディ®」を開発しました。

「シームレスバディ®」(以下SB)は、障害のある方の能力を見える化するクラウドサービスです。一人ひとりの得意な能力に加えて、「概念理解」「情報保障」も可視化できるので、必要な合理的配慮を導き出して、障害者の能力を最大限に引き出すことができます。このシステムは、SBを利用してきた方々の成長記録を長年にかけて蓄積し、その記録をデータベース化することで実現しました。

多くの企業は、障害のある方への指示が正しく伝わらない(伝えられない)ことに頭を抱えていると言います。その原因は、概念が共有されていないこと、情報保障(誰でも必要な情報を得られるようにすること)ができていないことにあります。例えば「赤いボールペンを10本持ってきてください」という指示を出しても、そもそも「赤い」「ボールペン」「10本」などの概念を理解できていなければ応じることができません。また、耳からの情報を処理するのが苦手で、目から入る情報の方が理解しやすい方もいます。どこまで概念を獲得できているか、どんな情報の伝え方が良いかなどをSBで可視化することにより、企業はPDCAサイクルを回しながら、一人ひとりに合わせた仕事の進め方、育成、業務のフォローアップ、戦力化ができるようになります。

少子高齢化による人材不足は深刻です。ビジネスは順調でも廃業という道を選ぶしかない企業も増えている中、人材不足解消の鍵として障害者雇用が注目されています。また、今後も続くと想定される法改正や多様性を尊重する社会の流れを鑑みても、障害者雇用に向き合わない企業の未来は厳しいものとなっていくでしょう。このような追い風を感じる一方で、まだ障害者雇用に踏み切れない企業も少なくないことに、歯がゆい思いを感じています。実際にSBを導入して障害者雇用を進めたクライアントの中には、生産性を2倍、3倍と向上させた企業もあります。こうした実績を発信していくことで、私たちやSBに興味を持っていただけるような活動をしていきたいと思います。

また、企業からよく相談を受ける例として、障害者を支援する側のスタッフの育成の課題です。SBを利用することで支援者の仕事の質は向上し、さらに広い視野で活動できる可能性があるのです。こうした業界内のマインドセットを変えていくことも、今後の課題になっていくだろうと考えています。

SBの新しい機能として、ディープラーニングにより障害者一人ひとりに合わせた合理的配慮・教材のセット等を提案する技術(特許第6955773号)と、企業や適正配置などのマッチング分析技術(特許第6831118号)を導入します。技術の追加はすでに終えており、現在は膨大なデータを取り込んでいる段階です。さらに2024年度には、概念理解をはかる「脳トレーニングアプリ(2024年7月リリース)」「情報保障アプリ」のほか、障害のある方本人や家族が自身のデータを確認し、パーソナライズできるようなアプリを2025年のリリースを目指して開発中です。もう一つ、今後の最重要事項として位置づけているのが、社内人材の育成です。数年前から、組織の中核を担う人材を育てる仕組みづくり、教育プログラムの実施をしておりその芽が少しずつ育ってきています。同時にパートナー企業との連携も深め、外部から社内をサポートしてくれる存在になっていただくことで、全体的な組織力を強化していきたいと考えています。

さまざまな企業さまとの連携で、SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」を実現し、一緒に成長していくことができたらうれしいですね。いま現在も、私たちと同じ想いのもとで活動するパートナー企業、クライアント、アプリ開発企業等の皆さまと共に障害者雇用を取り巻く社会課題に向き合い、切磋琢磨しています。これらの方々には当社の活動をずっと支えてきてもらったので、しっかりと恩返しもしていきたいと思います。また、私と同じ境遇のお母さん、お父さんたちの応援も大きな力になりました。彼らも夢を追っている同士なので、一緒に次世代につなげていけるような活動をしていけたらと思っています。