製造AIと完全自動化で世界の製造現場の常識を変える

会社紹介

2006年の創業以来、「お客様の右腕として働く」を理念に、自動化機械装置やソフトウェアのODM開発に取り組んでまいりました。2014年には「製造AIと完全自動化で世界の製造現場の常識を変える」を合言葉に、加工プログラム自動生成AI「ARUMCODE」のクラウドサービスと、切削加工工程の完全自動マシン「TTMC」を独自に開発・製品化し、世界的に深刻化している技能者不足の解決をめざしています。

創業時は自宅のキッチンの片隅に置いた、一台のPCと電話だけでスタートしました。しかし現在は、研究開発ができる自社工場を構え、優秀なエンジニアを多数抱えるまでに成長し、大手メーカー様からも高く評価される存在となっています。

技能者不足の課題は、世界中の国と企業が有効な解決策を見いだせていない状況です。製造の現場を知らないIT企業のAIシステムに頼ることで、かえって混乱している現場もあります。このままでは自動車や半導体のみならず、医薬品や生活必需品などの暮らしに欠かせない製品の供給にも支障をきたす恐れがあります。こうした課題を解決するためにも、一刻も早く当サービスを製造現場に届けるべく、全力を尽くします。

基本情報

アルム株式会社

〒920-8204
石川県金沢市戸水1丁目61番地

2008年のリーマンショックの影響で、倒産や廃業に追い込まれる金属加工の中小企業を目の当たりにしてきました。そのとき「当社の自動化技術は大手ではなく、中小企業にこそ必要なのではないか」と考えたことが現在の事業の原点となっています。また、提供方法についても「自分自身がユーザーになったとき、本当にありがたいと思えるビジネスモデルにすべきだ」という強い想いがありました。

その後、秋田県で金属部品を製造している企業を迎え入れ、年間6万点以上を製造する部品コストと加工の工程を徹底的に分析しました。その結果、製造現場で最もコストがかかり、工作機械の稼働率を低下させる要因が「工程設計とNCプログラム」にあることを突き止めたのです。この領域は職人技が求められる「聖域」であり、その道10年以上のベテランにしかできないというのが業界の常識でした。

かし工程を注意深く観察すると、金属加工はすでに数値制御(NC化)が進んでおり、ある程度はフォーマット化できそうだということに気づきました。そして「この工程をAI化することこそが、ユーザーが最も求めていることではないか」と考え、「聖域」に挑戦することを決意したのです。職人の設計技術をデータベース化し、切削加工における工程のロジックを約3000種類ほど開発しました。それらをソフトウェア化し、実加工テストを何万回と繰り返すことで、仮説が確信へと変わっていきました。こうして、加工プログラム自動生成AI「ARUMCODE」と切削加工工程の完全自動マシン「TTMC」が誕生したのです。

製造現場の技術者不足は、日本に限らず世界共通の課題です。そこで、従来のオンプレミス型アプリからWebアプリへの転換を進め、ARUMCODEをグローバル展開可能なクラウドサービスへと進化させました。TTMCについても、世界的に活躍する工作機械メーカーとパートナーシップを結び、海外市場へ進出するための準備を進めています。

当サービスは総合商社などによる調査から「世界にも同様のサービスや製品は存在しない」との報告を受けたことで、「世界でも十分に通用する」という確信を得ることができました。この結果を受け、社員一同が強い決意と覚悟を持ち、さらなる前進をめざしています。

当サービスは、製造のコア領域をAI化することでコストを半減し、製造現場の無人化を可能にします。さらにAIによる技術継承ができることも特徴であり、当社の技術を導入すれば、未経験者でもすぐに高精度な金属加工が可能になります。
ARUMCODEのクラウドサービスを導入している企業は国内で200社以上にのぼります。工作機械のTTMCは1台2.5億円という金額にも関わらず、70社以上の企業に採用されました。しかし一部では、新しい技術を導入することへの不安や慎重な姿勢が見られるのも事実です。そこで当社はソフトウェアの開発にとどまらず、実際の金属加工を繰り返し検証しながら、製品の精度と信頼性を高めてきました。これほどリアルな実加工テストを徹底し、技術検証を重ねてきた企業は、他にはないと自負しています。

CAD/CAMの誕生から50年以上が経過しましたが、自動車業界からの評価はいまだに「使える状態ではない」というものです。私たちのサービスにおいても、製造業の高い要求に応える製品をつくれるようになるまでには、それなりの時間と資金が必要になるかもしれません。私たちは当サービスを「業界のスタンダード」にすることをめざしていますが、それには「時の試練」に耐えるだけの開発力と営業力が必要になりそうです。当社の取り組みを応援してくださる方は増えており、共同開発の声がかかったり、営業・製造・保守などのパートナーに名乗り出てくれたりする企業もあります。だからこそ今のスタイルを崩さず「次世代の製造業の姿」を追求していくことが、成功への近道になると信じています。また、私たちは研究開発と設計デザインを主軸とし、自社の生産拠点を持たないファブレス企業です。そのためTTMCの製造や保守はパートナー企業に委託する形になります。このスタイルで製造・保守のリスクは軽減されますが、安定的な製造ができるかどうかは課題となると考えています。そして今後、私たちの製品を世界に展開していくためには、より大きな研究開発拠点と工場の確保に加えて経験豊かなエンジニアの獲得が急務です。新製品の構想やマーケティング人材の不足も感じておりますので、この先5年で100名規模での採用を見据えています。

今から5年以内の上場をめざしています。当社の製品を導入するのは市場のイノベーター層が中心となると予測しており、私たちが挑む市場は非常に大きく、潜在ニーズが十分にあるという確信を持っています。実際に工作機械は年間10兆円、スマートファクトリーは50兆円、金属部品に至っては120兆円規模の市場があり、私たちの目の前には計り知れない可能性が広がっています。また海外市場においては、アメリカ、インド、欧州、中国にいち早く製品を輸出したいと考えています。2025年7月以降にアメリカとインド市場での製品・サービス提供を開始する予定です。あわせて、ソフトウェア、ハードウェア両面でのISO取得、各国認証取得、パートナーとの提携などを進めています。

営業面については、今後5年間で売上300億円、税引き前純利益100億円が目標です。その実現には日本・アメリカ・インドで合わせてTTMCを250台販売、ARUMCODEを累計5000ユーザーに活用いただくことが必要になります。2025年はその初年度に当たりますが、順調に進んでいます。

2025年7月以降、TTMCを設置した全国15社のユーザーと契約し「TTMCビルボード」として、完全自動化に向けた旗振り役になっていただきたいと考えています。契約を締結した企業様には、自動車、半導体、宇宙航空関連など国内外の大手メーカーによる視察の受け入れをお願いする予定です。この取り組みにおいて川崎市様のご支援をいただければ、大変うれしく思います。