第107回最終選考会(平成29年6月9日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイディアの概要について
看護師資格を有しながら医療職についていない「潜在看護師」は全国に70万人。現役看護師150万人の約半数にあたる看護師が、育児や家族の介護など様々な事情のために、仕事に就いていない現状をご存知でしたか?
うちナースの創業者・理事長である錢谷は、医療政策および医学研究に携わる中で、多くの優秀な看護師たちが、結婚・出産などを期に退職し、看護への想いを持ちながらも家庭に入っている実情を目にしてきました。
一方で、錢谷自身は2人の子どもを育てながら研究を続けており、保育園に預けている子どもが急に発熱した際の「緊急のお迎え要請」への対応に、この10年間苦慮してきました。全国保育園保健師看護師連絡会の調査によると、特に0−1歳児の感染症や発熱による早退数は25%に上り、これは2−6歳児における8%の3倍以上に当たります。やはり、働きながら子育てをするには、保育園を増やすだけでは足りないのです。
そこで、潜在看護師と働く子育て世代をマッチングすることで、上記2つの社会問題を解決することを目的として、一般社団法人うちナースを設立、看護師による病児お送りを事業化することにしました。
新規性・優位性について
医療現場で働けない在宅の看護師と、働く育児世代のマッチングという、全く新しい観点の事業。
看護師を職場復帰させるのではなく、病児保育に参入するのでもなく、待機看護師たちが自分のスキマ時間を社会のために活かす、言ってみれば「看護師のUber」的なサービスです。
他の託児サービスとは違い、病児の対応について研修をうけた看護師が100%対応します。ちょっとしんどそう、などの些細な様子に潜む重大な疾患の危険性も踏まえて、安心・安全に保護者様のもとにお子さんをお連れします。
また、いわゆる病児保育とも異なり、予約は不要。急な発熱・お怪我にも迅速に対応します。
市場について
主なターゲット・市場の規模
平成28年4月時点での全国の保育園利用児童数は246万人、前年比8万5千人の増加。うち首都圏が児童数の3分の1を占めています。保育園数と利用者数は今後も増加傾向にあるため、市場規模は少なくとも数年後までは拡大傾向と考えられます。
病児の発生率は各種データより1~2%/日程度。1日あたりの病児発生数は全国で24,000人程度、首都圏で8,000人程度。うち看護師に緊急対応を依頼する必要がある首都圏の保護者数が1%と見積もっても、1日に80名の利用が見込まれます。
市場での競争力
看護師の観点から見ると、通常の医療職とは一線を画した他に類を見ない勤務形態であり、待機看護師70万人すべてに対して、うちナースに参加することによるNurse-Life Balanceの実現を訴求することができます。
働く利用者の目線から見ると、100%看護師が病児対応し、さらに平常時もいつでも相談を受けられることによる安全・安心が最大の強みです。この点は他の病児対応ベビーシッターサービスには絶対に真似出来ない点です。
実現性について
実施スケジュール
病児送迎の仕組みづくり、看護師向けマニュアル作成は完了。
2017年4月より利用モニター数名にて試験導入を開始。
2017年8月頃をめどに、本格的に墨田区周辺での利用者増を目指す。
実施場所
現時点で看護師がカバーできる東京都城東地区(墨田区・江東区・江戸川区)を中心に立ち上げ、今後働くパパママ人口の多い都内~横浜・川崎へも進出予定。
実施体制
理事長1名、在宅看護師15名
ビジネスパートナー
・ 株式会社ウェルネス:医療機関情報データベースの提供
・ 一般社団法人ハートフルファミリー:ひとり親家庭への周知
・ MoiMoiプロジェクト:利用者向けアプリケーションの開発
リスクとその管理
送迎中の事故等については、危機管理マニュアルで発生を予防する教育を徹底するとともに、賠償責任保険および傷害保険に加入し、万が一の事態に備えています。
病児への対応について判断が必要な場合には必ず保護者に了承を得て記録に残すものとし、必要であれば提携小児科医に相談できる体制をとることで訴訟リスクも最小限としています。