第134回最終選考会(令和5年3月10日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイディアの概要について
東京工業大学(以下「東工大」)の研究開発における知見により、3CF(カーボンファイバー・カーボンナノファイバー・カーボンナノチューブ)の技術を用いた新素材「ナノダウン」の量産化に成功しました。
「ナノダウン」は、ポリエステルだけでなくナイロンやポリプロピレンなども適用可能でシートとして製造できるため、断熱材・吸音材として衣料や建築や自動車業界のような、幅広い分野で使用することが可能です。従来の吸音材では実現できなかった低周波も除去するので、軽量な高性能断熱吸音材として自動車での活用も見込めると考えています。
本技術は国際連合にも評価いただいています。国際連合からのウクライナ難民支援要請をうけ、「ナノダウン」を寝袋・衣料・建築材料用をはじめとする断熱材などの開発・製造・販売を行うために株式会社3CFを設立し、現在に至ります。
「ナノダウン」の技術で活用した3CFは電磁波吸収体としての機能をもつことに加え、太陽光の熱エネルギー変換にも応用できるため、今後は「太陽光熱エネルギー発電」の事業展開も視野に入れています。「世界の安全安心のために貢献する!」 という経営理念のもと、多様な業界で活躍の可能性を秘める新素材を通じて社会に貢献します。
新規性・優位性について
「ナノダウン」の特性および「ナノダウン」の量産技術が優位性です。「ナノダウン」はナノファイバーとマイクロファイバーと混在することで、羽毛の4倍の断熱特性を持ち、5分の1の価格で提供できます。羽毛で問題視されていた動物虐待の心配もなく、洗濯やオートクレーブにも対応できるため、清潔さを保つことも可能です。
また、東工大のカーボンナノファイバーを使った燃料電池の開発、カーボンナノファイバーの原料では世界一の生産量を誇るカーボン材料最大手企業との協業が開始されたことで、「ナノダウン」を大量生産することが可能になりました。
市場について
主なターゲット・市場の規模
市場は多岐に渡ります。 1. 衣料 2. バイオ関連(再生医療) 3. 電磁波関連 4. 農業 5. 建築(断熱材) 6. 車関連(断熱、吸音材) 7. 輸送(緩衝材、断熱、抗菌) 8. 布団 9. 断熱不燃材 などあらゆる産業が市場となります。
例えばダウンコートは世界的市場規模で2021年時点で5兆円以上、布団は同年で10兆円と大規模な市場を見込むことができます。
市場での競争力
ナノファイバー&カーボンナノファイバーの分野では圧倒的な生産技術力を有しています。
また、溶媒方式・溶融方式ともに独自開発した「Zetta Spinning方法」を用いることで、ナノファイバー業界初のトン単位の大量生産が可能です。
実現性について
実施スケジュール
2023年2月 株式会社Mask-Nanoを株式会社3CFに社名変更
2023年4月 川崎市に本社登記を移動
移動後は東工大とカーボン材料最大手企業と共同開発を行い、資金を調達しつつ川崎市内で工場を設立します。
実施場所
愛媛県伊予郡から川崎市へと拠点を移動予定
実施体制
取締役2名、従業員7名体制
東工大をはじめとした教授陣、大手企業の出身者が開発・営業を支援しています。
ビジネスパートナー
大手商社と組み、布団・アパレル・防衛関連へ販路拡大を見込んでいます。
また、大手自動車メーカーへサンプルを提供済、大手布団メーカーが商品開発を検討中です。
リスクとその管理
他にないナノファイバーを開発しているため、安全性の見地から製造に関する特許は登録しないことにしています。