第119回最終選考会(令和元年7月26日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイデアの提案者
Fast Space株式会社
遠藤 達也
東京都町田市
- かわさき起業家賞
- はまぎん賞
【発表者 遠藤 達也】
ビジネスアイディアの概要について
弊社は、火力発電の発電コストを下回る、高性能な風力発電システムの提供をします。
具体的には、①発電用タワー:弊社特許構造を用いることにより低コストで高いタワーを実現します。②大型エアーベアリング:弊社独自のエアーベアリングを用いて低抵抗、且つ摩耗がないため長寿命の軸受を提供します。③大型伸縮軽量ブレード:弊社独自構造の伸縮軽量ブレードにより、台風などの強風時に翼を縮めることで、故障率を大幅に低減し稼働率を向上させます。
この3つの新技術により、風力発電コストを現在の5割に低下していきます。
大型化の効果に加え、低コスト化により、これまで風が弱く事業採算性が見込めなかった地域での発電が可能となり、風力発電の普及を強力に促進していきます。
また、将来は500m級の風車を目指すことにより、365日常時風が吹く高さに到達し、風力発電をベースロード電源化していきます。
これにより、CO2排出削減と地球環境の改善に貢献します。
新規性・優位性について
①軽量・高強度タワー: 従来構造の大径タワーやコンクリートタワーでは、洋上浮体構造に対する重量増のデメリットが大きくなる一方で、弊社軽量タワーは従来構造の3割~4割の重量低減が可能です。この軽量化分、浮体構造価格も低下できます。
②柔軟軽量ブレード:大型CFRPブレードは多額の設備投資が必要ですが、弊社ブレードは価格面で大きく優位性を持ちます。
③低摩擦エアーベアリング:ベアリングの要求精度を緩和できるため、安価に製造が可能となります。
また、冗長構成が可能で、故障率を単品の2乗と大幅に低減し、オイルフリーとも相まってメンテナンスフリーが実現可能です。
市場について
主なターゲット・市場の規模
2030年の風力発電の世界市場は10兆円と予測されています。このうちタワー費用比率を乗ずるとタワー市場は年2兆円と想定されます。さらにタワー単体製造はタワー費用の40%と見積もられることから、タワー製造市場としては、8000億円市場と想定されます。
2030年の風力発電のアジア比率を3割と仮定し、この市場を独占することを目標とします。
(ブレード・ベアリングはライセンス販売の可能性を探ります。)
市場での競争力
弊社の特許技術を用いたタワーは、販売当初で構造材料を従来比50%、販売コストで30%を目指します。
販売開始2期目に大量生産用の製造ラインを構築し、製造リソースが安価な海外でのOEM生産をアジアの複数国で実施します。
大手3社の寡占状況にある市場において、低コストを武器に急速に普及させることにより、シェア上昇率で競合となる他のタワー工場・メーカを圧倒する競争力を確保していきます。
実現性について
実施スケジュール
2019年 120mタワー事業化のフィジビリティスタディ、 ブレード、空気軸受の設計
2020年 120mタワーの部分試作・試験、 ブレード、空気軸受の試作・試験
2021年 120mタワーの製作、実証試験、 大型ブレード・空気軸受の製造・試験
2022年 120mタワー型式認定取得、販売開始 大型ブレード・空気軸受の実証試験
実施場所
設計・検討:弊社、 製造:会川鉄工株式会社、 試験:宇宙航空研究開発機構(JAXA)(調布)
実施体制
4名
ビジネスパートナー
2019年度 NEDO委託事業 会川鉄工株式会社:4名
宇宙航空研究開発機構JAXA:1名(+1名補助員)
リスクとその管理
○システムメーカーが弊社コンポーネントを採用しない
⇒フィジビリティスタディ時より、システムメーカーとの協力関係を構築していきます。
⇒状況により、小型風力のシステムメーカーと協力し、自社でのシステム構築を図ります。