第133回最終選考会(令和4年12月9日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイデアの提案者
【発表者 髙岡 昂太】
ビジネスアイディアの概要について
自治体の児童相談所や児童虐待対応部署を対象に、過去のデータに基づいたリスクシミュレーションを行う業務支援システムの導入と、その活用支援をパッケージにした伴走型サービスを提供します。
児童虐待対応は、不確実な情報しかない中で迅速かつ的確に判断するという高度な専門性が求められる業務ですが、急増する相談件数に対し人材が不足しており、現場は逼迫しています。「たぶん大丈夫だろう」という人間の認知バイアスがかかりやすい状況下でも、過去の事例データに基づく客観的な示唆を参照することで、リスクの高いケースの見過ごし防止を期待できます。
課題設定、タブレットアプリでの調査記録の入力によるデータ収集、蓄積したデータのAI解析と即時フィードバックによる意思決定支援、中長期的な業務傾向の分析と改善提案というサイクルを回し、ワンストップで現場の「判断の質向上」「対応スピードの向上」「人材育成」「エビデンスに基づく政策立案」を支援します。
新規性・優位性について
児童福祉分野でのリスクアセスメントに基づく意思決定支援システムはこれまでになく、技術移転元である国立研究開発法人産業技術総合研究所にて特許出願中です。
タブレットと閉域ネットワークを通じてどこからでも安全に入力・閲覧できる、日々の記録がそのままデータ分析の素材となるなど、職員の負担を増やさずに業務フローの中でリアルタイムに利用でき、かつ溜めたデータを活用する前提で設計している点に独創性があります。
システムを開発・提供するだけでなく、データ分析や業務改善支援の伴走までワンストップで提供できるのが弊社の強みです。
市場について
主なターゲット・市場の規模
主なターゲットは全国の児童相談所(約90自治体)と市区町村の児童虐待対応部署(約1800自治体)です。若手職員の比率が増え人材育成を課題としている、業務効率化のためDXを推進している等の自治体が初期のターゲットです。
さらに、学校・医療機関・警察等の関係機関(30万施設)を含めると、約3,000億円規模の市場となります。
市場での競争力
既存システムがデータの保管を主目的にしているのに対し、弊社は現場経験がある臨床心理士等の専門職や児童福祉領域の調査研究を手掛けてきたデータサイエンティストが在籍しています。
そのため、児童福祉のドメイン知識とデータサイエンス技術を併せ持っており、現場の業務フローに合ったUI/UXの開発や、対応に関して臨床的な示唆を含んだフィードバック・研修など、実践的な価値を提供できる点を強みとしています。
実現性について
実施スケジュール
現在児童相談所版を1自治体にサービス提供しており、2022年12月から複数の自治体(児童相談所と市区町村)で新機能の実証実験を予定しています。
2023年4月に市区町村版をリリース予定です。
実施場所
川崎市内のかながわサイエンスパークを拠点としています。
現在三重県6児童相談所にサービス提供中。
今後は全国展開を予定。
実施体制
取締役3名、社員7名(営業、カスタマーサクセス、データサイエンティスト、PdM、総務)
ビジネスパートナー
販売委託やライセンス事業化などを検討中です。
リスクとその管理
自治体の機微な個人情報を取り扱うため、社内の情報セキュリティや個人情報保護体制を整備し開発・サービス提供しています。
プライバシーマーク、ISMS認証(ISO27001)、ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27017)を取得済みです。