かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第48回最終選考会(2007年7月13日開催)
ENTRY No.2

ビジネスアイディアのテーマ
『マイクロ燃料電池を用いたモバイル機器用電源供給装置の実用化』

ビジネスアイデアの提案者
システム技研株式会社
 安藤 英敏(あんどう ひでとし)

  【神奈川県大和市】

かわさき起業家賞
りそな神奈川応援賞
システム技研株式会社 安藤 英敏さん

ビジネスアイディアの概要について
最近のモバイル機器は、多機能化と長時間利用により、電力消費量は5年で約2倍に伸びているが、内蔵の二次電池の 容量増加は年平均7%程度に留まり、5年で1.5倍程度しか増えていない。その対策として注目されているのが燃料電池で、エネルギー密度の大きさから、軽量小型で高容量化が可能となることを背景に、次世代のモバイル機器用電源として、世界中で開発が進められている。モバイル用燃料電池は、数年前にメタノールを燃料とするダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)が注目され多くの企業が実用化に取り組んで来た。
しかしながら、DMFCと燃料のメタノールは数々の致命的な欠点を持ち、技術改善が進展しない事も起因し、一昨年あたりから業界では水素を燃料とする電池への期待が高まって来ている。
水素用燃料電池としての本技術の特徴は、水素化ホウ素ナトリウムを水素発生源とした水素用燃料電池を用いることで、軽量小型で高容量なモバイル機器用電源供給装置の実用化を目的とするものである。
マイクロ燃料電池

新規性・優位性について
燃料電池は原理的には発電機であり燃料の投入により発電を継続する事が可能な機器である。燃料の高エネルギー密度からリチウムイオン二次電池の容量限界を解消するものとして注目され、将来的には携帯機器の内蔵型のものが商品化されるとの見方が有力である。弊社のコア技術である電子制御技術の集大成ともいえる「DC-DCコンバータ」は、二段階昇圧形で0.4V〜12Vを達成した画期的技術(特許出願済)である。これを組み込む事により定電圧入力・高効率・超小型化を可能にする。 

市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    燃料電池は、将来的には二次電池(現在6000億円の市場)に替わるモバイル機器の電力供給源になると考えられるが、二次電池の充電器としての利用も可能であり主なターゲットとしてノートパソコン、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話の4つの機器が想定される。市場展開は2007年から始まり2010年には本格的な市場が形成される(600億円)と予測され大幅な市場拡大が望める。
  • 市場での競争力
    最大の競合としては、大手家電メーカーで開発中のダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)である。対して弊社で取り組んでいる水素用燃料電池(PEFC)の競争力は、変換効率の良さ(DMFCの3倍)、電極としての白金触媒の少なさ(DMFCの1/10)等による原価構成力の差(DMFCの1/5)で、値ごろ感のある目標価格設定(〜4,000円)が可能である。

実現性について
  • 実施スケジュール
    今年度は開発を含むシステムの技術的構築と自社製造によるテスト販売の開始。来年度は実用化に向けた製品の改善による技術の確立と普及型コストダウン機の実用化開発・販売を進め、3年目に量産化技術仕様の取りまとめ・製造ラインの構築、2010年に量産化技術確立、大手企業でのOEM製造・販売を開始。 
  • 実施場所
    システム技研株式会社 本社・事業所内 
  • 実施体制(従業員等)
    研究開発は、専従の自社開発要員(3名)で対応。一部の評価と技術支援は、神奈川県産業技術センター、武蔵工業大学、職業能力開発大学校、東京理科大学の燃料電池の研究開発に実績がある公的機関の協力をもとに進める予定。
  • ビジネス・パートナー
    開発は、上記技術センター及び3大学との技術協力。SBHと燃料カートリッジの開発は、(有)コマテックスの協力。部材調達でMEAは住友3M、燃料カートリッジは (株)大和製缶、販売は商社(三菱商事等)と提携話が進行中。 
  • リスクとその管理
    マイクロ燃料電池を用いたモバイル機器用電源供給装置の開発は、弊社の保有技術と外部協力者の支援とで目標値の達成は可能。商品展開には、低コスト化が不可欠で、海外を含む燃料電池部材メーカーとの提携を図り、製造コストの低減及び改良を進める。事業化の課題は営業力、販売力と考え積極的な営業活動を進める事で社会認知度を高め、積極的な商品展開を進める予定。

このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
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