かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場
第57回最終選考会(2009年2月7日開催)
ENTRY No.1

ビジネスアイディアのテーマ
自律分散式転がり軸受(ADB)の事業化

ビジネスアイデアの提案者
株式会社空スペース
山下裕重(ヤマシタヒロシゲ)

【神奈川県厚木市】

かわさき起業家賞
山下裕重さん

ビジネスアイディアの概要について
自律分散式転がり軸受

転がり軸受はボールの転がりを利用するので、基本的には滑り軸受に比べて低摩擦であるが、機械学会誌では、ボールが保持器で拘束されていることによる滑り摩擦が小さくないこと、このために生じる①回転トルクの増加、②焼付き、③高速回転の限界、など、改善の余地がある。
ことが発表されていた。しかしながら抜本的な解決策が見つからず、問題は表面化されていなかった。 本技術は、軸受の負荷が小さい部分でボールを減速⇒加速させて、ボールにスキマを作るもので、上記の滑り摩擦が解消する他、保持器が無くなる。内輪、または外輪の負荷が小さい部分について、ボールとの接触位置を変えるだけでこれが実現できる。


新規性・優位性について

現行品はボールと保持器との滑り摩擦の問題(保持器無しの廉価品もあるが、ボール同士が滑り摩擦を起こすため、より問題が大きい)を内在している。特許調査の結果、保持器改良関係で1万3千件もの出願があり、ニーズの強いテーマであることが分かった。この中で、ボール同士にスキマを作るものは1件のみ(磁気反発力利用だが実現性無し)、軸受メーカはスキマを作ることを諦め、保持器の改良に注力したことがうかがえる。
本技術は抜本的に滑り摩擦を解消するものなので、性能面(回転トルク、寿命、回転数)で大きな優位性がある、と考えている。また単純な構成なので現行品よりも低コストとなる場合が多いと考えている。


市場について
  • 主なターゲット・市場の規模
    軸受メーカ品(鋼製品)は国内7000億円、世界4.4兆円と大きい。しかし設備投資リスクや、実績重視の産業特性を考慮し、当初は性能差が顕著に出る以下のニッチ分野での製品化、実績作りを目指す。
    ①滑り摩擦に弱い真空用(半導体製造、宇宙)
    ②小型軽量が決め手となる人力支援ロボット
    また、以下は現有設備で製造可能であり、メーカへの採用を働きかける。
    ③樹脂,プレス成型による軸受(食品機械、キャスター)国内推定200億円
    ④ボールねじ、直動案内(工場設備)国内推定4000億円
  • 市場での競争力
    本技術部分での競合技術は無く、性能の優位性は非常に高いと考えている。
    軸受での性能、価格競争力は製造技術力に左右されるが、幸い国内軸受メーカの技術レベルは概ね横並びなので、ニッチ分野の数量であればメーカに依らず競争優位になる、と考えている。

実現性について
  • 実施スケジュール
    ・試作軸受で意図した動作の確認済み
    ~2009年3月 試作品の効果(低トルク化)確認試験
    ~2009年9月 事業パートナーを探し製品化の道筋をつける。パートナーが製造技術を保有していない場合、弊社がファブレスメーカとなって商品化。
    ~2009年11月 PCT特許の外国(米、欧、中国を予定)移行。
  • 実施場所
    本社
  • 実施体制(従業員等)
    取締役含めて2名
  • ビジネス・パートナー
    ・真空装置や人力支援ロボットの開発メーカ、研究機関
    ・樹脂/プレス軸受、ボールねじ、直動案内メーカ
    東工大の教授よりメーカへの技術アドバイスの承諾を得ている。
  • リスクとその管理
    品証リスク;軸受は規格品か客先リスクによる開発品が多く、軸受メーカが品証リスクを負うことに不慣れであること。

このページの内容は、受賞者の文責による最終選考会プログラム(当日配布)の内容を転載したものです。
当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。
すべての著作権は財団法人川崎市産業振興財団および原稿執筆者に帰属します。
Copyright(C) 2006-2010 IIP Kawasaki.All rights reserved.