ＮＰＯ法人プロジェクトウイング
奥田奈菜子（オクダナナコ）
【埼玉県春日部市】

かわさき起業家賞

精神障害者の就業機会創出事業として、埼玉県春日部市にある精神障害者通所授産施設と業務委託をし、東ティモール産フェアトレードコーヒー豆を同市内の焙煎業者に焙煎を依頼し、施設内でパッケージ商品を作り、当ＮＰＯ法人が販売をするという事業である。
当該事業は福祉事業ではなく、社会事業として収益性のある事業展開を行い社会貢献を目指すものである。
精神障害者に特化した理由は、障害者自立支援法が進む中、他の障害者も厳しい現実にさらされているが、特に精神障害者の障害特性により一般就労が難しいものがある、というところにある。そこで、PSWやSWによるサポート付就労が可能になれば、精神障害に対する理解と環境整備が図られ彼らの就労機会が広がると考え、施設と協働してこの事業を立ち上げた。
（PSW：精神保健福祉士　SW：社会福祉士）

フェアトレードコーヒーを扱う業者は増えてきてはいるが、FLO（フェアトレードマーク）にこだわるあまり、生産者の顔が見えその生産過程を把握できているものはあまり多くない。その点、当該事業ではフェアトレードであっても生産過程が掌握でき、品質に自信が持てるコーヒーを扱っていると同時に、コーヒー生産者支援のみならず、それを利用して障害者就業支援に結びつけたところが、新規性があり独自的であるといえる。
欧米におけるフェアトレードコーヒー市場はコーヒー全体の20～3％で、日本では0.2％前後といわれている。また平成以降、日本の嗜好飲料消費推移はコーヒーが緑茶を抜き1位を維持しており、レギュラーコーヒーの消費量も増加傾向にある。コーヒー消費者の選択肢の中にフェアトレードコーヒーというジャンルが加わり市民権を得る可能性は高いと思われ、その先駆けとして当該事業を起こすことは、優位性を持つこととなる。

• 主なターゲット・市場の規模
  欧米でのフェアトレードコーヒーの普及率は20％～3％であり、気風の違いはあるにしても欧米で標準化されてきているものであれば、日本においてブランディング戦略を以て普及率向上を図ることでコーヒーの一般流通市場に入り込むことは可能であると言える。
  また、昨今、国際支援の機運が高まってきており、そういった志向の高い消費者へのアピールも十分に出来る商品であり、取り込むことが可能であると考える。
• 市場での競争力
  価格としてはやや高めになるが、社会的な意義や活動での差別化を図ることは可能である。つまり、おいしさ、安全性に加えて、障害者就業機会創出とフェアトレードによる国際支援、及び、収益の一部を援助へ還元するという相互支援にこだわった構図をブランディングすることによって、社会貢献に少なからず興味のある一般消費者へ効果的なアピールを行うことが可能であると考える。※ 消費者へのアンケート調査などで「社会貢献に興味がある」という回答が約８割を占めたというデータがある。

• 実施スケジュール
  1. 焙煎設備を備えられるカフェ対応の施設を地域内に整備する。
  2. 量産体制に伴う障害者へのトレーニング（焙煎技術指導も含む）
  3. HP、プレスリリース他による広報活動（HPに関しては身体障害者ワークチーム活用）
  4. イベントの企画、実施
  5. 販売量の拡大に努める
• 実施場所
  埼玉県春日部市
• 実施体制（従業員等）
  正社員2～3人
  精神障害者（パート扱い）8～15名
• ビジネス・パートナー
  販売パートナー募集予定
• リスクとその管理
  ◆仕入在庫を抱えることのないように、豆その他の仕入れについては計画的に行う。
  ◆コーヒーは農産物であり、天候その他の要因によって混乱が生じる場合があるので、事前調査を行い不足が生じないように情報収集を怠らないようにすると共に、他地域産のコーヒーも考慮し取り入れるようにする。