かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第59回最終選考会(2009年6月12日開催)

Entry.3


ビジネスアイディアのテーマ

特別管理産業廃棄物アスベストの低温溶融無害化処理および油化再資源化3R環境事業

ビジネスアイデアの提案者

株式会社ストリートデザイン

坂本 佳次郎(サカモトカジロウ)

【川崎市中原区】

かわさき起業家優秀賞

はまぎん賞

商工会議所会頭賞

坂本佳次郎さん

ビジネスアイディアの概要について

アスベスト処理

アスベストに関する健康被害は深刻な社会問題である。これまでに建材等日本国内で使われたアスベストの回収は行われているものの、まだそのほとんどは生活している周辺地域に存在する。回収されたアスベストについては約98%以上を管理型最終処分場に埋立てにて処分されているが、何年たっても土に返ることがないため後世・次世代に有害となる原因そして被害を大量に残してしまうことになる。

有害な形状をしたアスベスト繊維を無害化処理するには、1,500℃の高温で溶融する必要があり、そのためには1,500℃溶融設備を設置しなければならず、設備コスト面等様々な問題より、1,500℃での溶融無害化処理受入れコストは、埋立て処理と比較すると約4倍ものコストになっている。大量に排出されるアスベストを埋立てよりも低コストで溶融して無害化処理する技術及び設備が現状ではない。

そうした中、弊社は独自の技術を開発し、低温(700℃)で処理できる化学的分解メカニズムを駆使した無害化を実現させた。この技術は、アスベスト廃棄物と回収工事時に発生した多量の養生材や副資材等を無害化処理し、さらにそれらプラスチック系廃棄物を油化することで再資源化リサイクルが可能になる。油化された資源をこのアスベスト低温無害化装置と油化装置自体を稼動させる燃料として約15%再利用することでリユースし、リサイクルされた残りの油資源は、収集運搬の燃料や発電などに利用し、特別管理産業廃棄物の低コスト循環型無害化処理技術である。

この技術をベースに、国内はもとより、海外事業を展開できるパートナーと連携して推進できる事業化体制を確立する。

新規性・優位性について

アスベストを溶融させる場合、環境省の公定法では1,500℃以上の高温にて溶融処理する必要がある。弊社は、低温(700℃)の熱エネルギーと化学反応を利用した、無害化(非繊維化)できる低温溶融対応薬剤の自社開発に成功(大臣認定取得済、特許出願済・論文山口大学大学 院確認実験済)した。

弊社の技術で、従来の1,500℃での溶融無害化炉と比較して、設備投資が約1/3以下、エネルギー使用量も半分以下となる。独立行政法人の産業技術総合研究所の技術協力により油化技術の応用で養生材及び副資材の90%以上を油に還元可能なことも実証した。再資源化したその油を燃料として稼働させるため、リサイクル・リユース燃料使用でエネルギー使用量の大幅削減、CO2排出量大幅削減、アスベスト処理トータルコストの大幅削減、メンテナンスコスト削減等、循環型アスベスト処理技術となる(特許出願済)。アスベスト無害化処理事業を前提にしたトータル的にメリットのある技術は、国内外を通してまだ実用化されてない。

市場について

主なターゲット・市場の規模

ターゲットは、国内外にあるアスベスト、アスベスト含有建材の取り扱いに関連する事業者となる。

1)薬剤販売、2)油化・無害化炉販売、3)自社稼動、4)認定取得コンサルティング事業については、環境 ビジネス参入業者、アスベスト含有建材などの排出事業者、契約代理店、アスベスト除去業者中間処理 業者、最終処分業者、第3セクターなどがそれぞれのビジネスターゲット。

特別管理産業廃棄物アスベスト処理市場としての現在市場価格から算出した発生量全量を溶融とした 場合、年間4000億円程度、全量埋立てで1000億円程度となる。現場薬剤市場としては、発生量全量を溶 融した場合、年間1兆円程度である。

市場での競争力

  • 薬剤:現在の市場での他社製品と比較しても価格競争力は十分にある。当薬剤をアスベスト除去回収現場で使用 した場合、そのまま低温溶融炉に投入すれば低温で溶融無害化ができるといった付加価値があるため価格だけで なく市場での競争力、説得力は十分ある。
  • 特別管理産業廃棄物処理受入価格:1,500℃での溶融無害化処理と比較すると約1/4、埋立て処理費用と同等の価格 で受け入れても十分利益が残り事業としての競争力・魅力は十分にある。
  • 溶融炉の販売価格:1,500℃で溶融処理する炉と比較し低温溶融・油化炉は、約1/3でイニシャルコストが抑えられ る。また、メンテナンス費用やランニングコストについても低温であることや油化リサイクル・リユースがメリ ットとなり、特別管理産業廃棄物アスベスの受入費用での競争力において非常に有利である。

実現性について

実施スケジュール

2009年7月〜経済産業省・NEDOの委託事業採択を受け、実証試験を開始
2010年1月〜環境省無害化認定申請
2010年4月〜第1号アスベスト低温溶融無害化・油化再資源化事業開始予定
2010年4月〜第2号機以降展開予定

実施場所

川崎市では沿岸地域での実施を計画希望有。国内環境アセス取得可能な地区(現在は、青森県、宮城県、 栃木県、千葉県群馬県、沖縄県等)で実施予定検討中である。海外展開も視野に入れる。

実施体制(従業員等)

  2009年度 2010年度 2011年度 2012年度
炉販売施工工事営業 11 15
技術
開発試験炉管理
従業員計 10 16 21

ビジネス・パートナー

全国施工・販売代理店12社(溶融炉事業立上後再募集) アスベスト中間処理事業者、共同事業者(協業)、資本参画、M&A(子会社化)、事業譲受などの形態 でのパートナーシップを展開。

リスクとその管理

弊社は主として研究開発から事業化までを担当して、事業展開については、アライアンス先と展開することを計画 しリスク分散させる。

アスベスト廃棄物無害化処理の事業化に関しては、受入れ処理量及び無害化処理効率、受入れ費用など埋立て処理 との比較で、低温溶融無害化処理のほうが排出事業者にとってコスト面を含めてトータル的に有利になることをPR。

当事業の事業計画は、設備の1日の処理量が基本となっている。受入量の確保また、設備稼働率を100%にするため に、安定した排出事業者との契約が必要である。埋立て処理受入価格を意識し、当事業としての受入価格を設定し、 処理量及び収益を確保する。これらを確実に実行することにより事業として成立し、社会貢献することができるよう になると考える。

国内での実績を基に事業展開として、海外展開も視野に入れて設備計画・展開をする。

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