かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第64回最終選考会(2010年3月13日開催)

Entry.4


ビジネスアイディアのテーマ

グリーンデバイスの本格生産に備えたフォトマスク用検査装置の開発と販売

ビジネスアイデアの提案者

株式会社アジャイル・パッチ・ソリューションズ

山本 敏(ヤマモト サトシ)

【横浜市中区】

かわさき起業家賞

山本 敏さん

ビジネスアイディアの概要について

フォトマスク用検査装置

半導体用フォトマスクの検査装置(CD測定装置、DB欠陥検査装置、位置精度測定装置)を開発して販売する。

当社のターゲットとするのは最先端のLSI用半導体を対象にしたフォトマスク検査装置ではなく、DRAMの設計ルールで言うならば、1μm〜0.25μmを概ねの範囲とする、いわゆるミドル〜ローエンド品向けの検査装置である。LSIなどのシグナル・デバイスでは、白物家電などの用途に使われる比較的小規模で安価なLSIであり、この用途のフォトマスク検査装置としては、古い装置の置き換え需要(2順目の需要)を想定している。

その一方で、インバータなどのパワーデバイスは電気エネルギーの効率利用のKeyデバイスであり、CO2削減の時代の要請から生産の著しい増加が期待されている。技術的な面からはSiCやGaNなどの化合物デバイスの実用化により、今後1μmより微細な領域での開発競争が活発化することが確実視されており、日本国内では、そのフォトマスクを安定供給するための検査装置の不足が深刻な問題になることを予測している。この分野に対して新規需要を見込んで、それに応えた装置を供給して行くことを狙いとしている。

新規性・優位性について

低コスト体質

当社は小さな会社であるが故に、必要最低限の経費で運営している。そのことは製品開発の全てにおいて低コストで製品を開発できる素養になる。フォトマスク用検査装置の価格の高騰は全ての顧客にとって、重大な問題となっており、当社の様に適正価格への是正に挑戦する会社は共感を得られる立場にある。

マスク業界での豊富な経験

当社代表は約9年間フォトマスクの生産技術と品質保証の仕事に従事して、検査装置のユーザーの立場にあった。その後、外資系メーカーで約5年間、先端フォトマスク欠陥検査装置の日本への導入のビジネスを行い、さらに約9年間、技術コンサルタントとして、国内装置メーカーの開発サポートを行ってきてきた。この様に、フォトマスク業界での長い経験があり、しかも、それが、ユーザーの立場、コンペチターの立場、製造メーカ ーの立場を経験している。この間に築き上げた顧客やメーカーとの人的ネットワークが強みである。

保守・延命作業での実績

当社代表は2007年〜2008年にかけて、友人の会社と共同で、古くなって装置メーカーの保守が受けられなくなったフォトマスク検査装置の保守・延命のビジネスを立ち上げた。このビジネスを通じてこれらの機種に限らず、古いフォトマスク用検査装置の日本国内での稼働状況を把握している。さらに、装置の保守が受けられなくなり、困っている顧客に対して保守延命の機会を与えたことは顧客との信頼関係の構築に役立った。

市場について

主なターゲット・市場の規模

ターゲットは国内外のフォトマスクメーカーおよび、デバイス・メーカー、ファウンドリーの内製マスク部門。
当社の開発する装置の市場規模は2015年で200億円程度と想定する。
その中で1/3以上のシェアを取りたいと考えている。

市場での競争力

フォトマスクの生産は一品一様が基本であり、検査装置は常に100%保証が要求される。また、設計データ(CAD)からパターン形成へのデータの取り扱いに高度な技術が要求される。
当社ではマスク・データ準備(MDP)から出荷保証まで、それぞれの分野で実績のある会社と連携を取りながら真に価値の高い装置を開発して行く。
また、フォトマスクメーカーにとって顧客にあたる半導体デバイス・メーカーとの連携も強化し、当社の開発した装置の早期の認定取得を目指す。

実現性について

実施スケジュール

2010年4月にPhoto Mask Japan2010にて技術内容と成果を公開予定。
2010年12月にCD測定装置発売予定
2011年12月にDB欠陥検査装置発売予定

実施場所

本社並びに新規設定の開発拠点

実施体制(従業員等)

4名、今年度中に3名増員予定

ビジネス・パートナー

フォトマスクのデータ準備、検査アプリケーションに精通した国内外の会社

リスクとその管理

資金調達のもたつきと市場投入遅れによる大手メーカーの参入を許してしまうと競争が厳しくなる。
その時々で状況を正確に見極め、状況によっては技術と特許を売却して潔く撤退する。
その一方で、関連業務のコンサルティング、システム開発、保守延命などのビジネスを伸ばしてリスク・ヘッジを行う。

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