かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第64回最終選考会(2010年3月13日開催)

Entry.5


ビジネスアイディアのテーマ

新技術を活用したQOLを高める新機能性化粧品の開発と事業化
― 対ケロイド/アトピー製品の事業化 ―

ビジネスアイデアの提案者

メディサイエンス・エスポア株式会社

松本 高明(マツモトタカアキ)

【川崎市幸区】

かわさき起業家優秀賞

りそな神奈川応援賞

はまぎん賞

川崎商工会議所会頭賞

松本 高明さん

ビジネスアイディアの概要について

新技術を活用したQOLを高める新機能性化粧品

アレルギーやケロイドなど皮膚疾患の治癒はQOL高める要素として期待されている。そのため皮膚科や形成外科領域で望まれる塗布型医薬品(軟膏、ジェル、クリーム、ローション等)は多いが、新薬開発には時間や費用がかかるため医師や患者の要望にタイムリーに応えるのは難しい。この解決策として、既知の評価された薬剤や成分を薬事法規制下で化粧品化または医薬部外品化することが考えられるが、製品は安全性が確実に担保され、薬剤が減量されていても効果レベルは高く設定されなければならない。そのためには、高い経皮浸透性、細胞親和性及び叙放効果を兼ね備え、薬剤を目的とする細胞に送達する材料が必要であると共に、この送達材料には薬剤が十分に内包されていなければ効果は期待できない。また、化粧品化、医薬部外品化の他のメリットとして複数種類の薬剤を混合した疾病ごとにオールインワン製品を用意できるが、水溶性と油溶性、酸性とアルカリ性等、相反する薬剤を一つの製品に混合できる技術が必要である。弊社はリポソーム技術を中心にアンチエイジング等の化粧品を製品化して来ており、新ジェネレーションのリポソームを含む新技術を活用すれば目標の製品は実現可能であると考える。

この新機能性化粧品の事業化は、従来の化粧品(アンチエイジング等の「一般美容目的用」)とは異なり、皮膚のコンディションを高める「専門家用」として患者に確りと情報が伝わるよう徹底することが重要で、主な方法としては、病院内売店での販売、製薬会社に販売委託、外皮用薬メーカー等からのOEM受注およびライセンスアウトを考えている。

新規性・優位性について

医薬品を新機能性粧品化することにより、医師や患者は、短期間で安全で効果が期待できる疾病ごとにオールインワンになった製品を使用できるようになる。また、オーファンドラッグのように対象症例数の少ない病気であっても開発期間が短く開発コストをセーブできるので試験検討がし易い。更に、新機能性化粧品は、医療制保険制度における医療費をセーブし地域保健運営に貢献したい。然しながら、この新機能性化粧品の実現化には弊社とビジネス・パートナーで確立した下記の新技術が必須である。

これらの技術を一つの製品にパッケージできるのは世界でも当社のみと考える。

  • 新ジェネレーションリポソーム:多重層化し内包する薬剤を安定化させ、有効成分を皮膚の深部まで届けると共に徐放できる。更に、リポソームの膜を正電荷に帯電させることで、細胞に対しての親和性を向上させると共に必要部位へ有効成分を優先して送達できる。(ビジネス・パートナー特許取得済)
  • 薬剤高率内包化技術:新技術を一部活用することでリポソーム内包率は従来の40%〜50%とは異なり、90%以上(脂溶性成分98%、水溶性成分93%)となり、リポソームを新機能化できる。(ビジネス・パートナー特許出願中)
  • 薬剤混合技術:酸性とアルカリ性等、相反する薬剤が混在すると干渉し合い効果を減弱してしまうが、複数種の薬剤をリポソームに内包してオールインワン化できる。(当社特許出願中)

既に内包する薬剤や成分に関しても検討中であり、本年度中に1番目を製品化する予定である。

市場について

主なターゲット・市場の規模

  • 皮膚科や形成外科で使用されている外皮用薬
  • 外皮用薬にできなかった注射剤や経口剤
  • 軟膏剤等の塗布剤に変更された方が使用上有益なもの
  • 現在外皮用薬として使用されている塗布剤で混合製剤化して使用した方が良いもの。

美容皮膚医療化粧品市場は約2000億円(整形外科含まず)で市場拡大中(日本経済新聞3/12/2010)。皮膚からの浸透力が認知され新機能性化粧品の種類が増えれば経口剤や注射剤の一部を含め市場は益々拡大すると思われる。

市場での競争力

既に多種の化粧品、医薬部外品が市場されているが、新機能性化粧品は開発目的が皮膚のコンディションを高める「専門家用」として明確化される。

新機能性化粧品は、成分の内包率や浸透力や徐放性を高めることにより期待される効果も高まり、販売方法も医師や患者に確りと情報が伝わるよう徹底することで従来製品との差別化が可能と考える。機能化粧品が認知されるようになれば機能性化粧品独自の市場が構築されると考えられる。これらの材料や技術が備わっているのは現在弊社しかないと思われる。

実現性について

実施スケジュール

2010 年
1月 医科大学と発契約締結。
3月 経皮効果の確認。
4月 長期安定試験スタート。
6月 病理検討。
8月 製品化検討。
10月 臨床検討案作成。
12月 製造会社と販売会社を選定。

2011 年
1月 第一製品の製造開発
3月 第一製品の製品化

実施場所

【研究開発】
KBIC中心に各ビジネス・パートナーの施設。

【事  業】
川崎、神奈川を中心に徐々に全国展開。欧米、中国、韓国、ベトナム、タイ、シンガポールもターゲット。

実施体制(従業員等)

弊社:3名、ビジネス・パートナー:4名、医科大学:2名、医薬品・化粧品製造会社:2名

ビジネス・パートナー

【現   在】
実用化:フランス研究所、大手画像処理装置メーカー、医科大学、医薬品・化粧品製造会社。

【次ステップ】
商品化:製薬会社2社、海外製薬会社1-2社、神奈川県のベンチャー企業2社、首都圏の医科大学数施設、販売会社数社。

リスクとその管理

リポソームの基礎検討は大凡終了している。
資金は研究開発費、ラボ運営費と人件費に使用される。
第一期(薬剤とリポソームの検討):500万円。
第二期(新機能性化粧品化) :1500万円。合計2000万円となる。第二期終了は1年半後を予定している。
資金はメディサイエンス・エスポア社と医科大学の費用と助成金で賄う。今後の開発状況によるが、資金不足が生じた場合は製薬会社に技術移管し、イニシャルの開発費を確保したい。

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