かわさき起業家オーディションビジネス・アイデア シーズ市場 第69回最終選考会(2011年2月4日開催)

Entry.1


ビジネスアイディアのテーマ

 がん細胞へ薬を送達する新規物質の応用によるがんの治療とがん診断の事業開発

ビジネスアイデアの提案者

ナノデックス株式会社

服部 憲治郎(ハットリ ケンジロウ)

【神奈川県海老名市】

かわさき起業家優秀賞

はまぎん賞

服部 憲治郎さん

 

ビジネスアイディアの概要について

ナノデックス社は葉酸修飾シクロデキストリン(ND1と略称)があたかも人工がん抗体として働くことを見出した。この基礎知見の実験的根拠は、SPR装置による会合定数の測定やフローサイトメトリーや共焦点レーザー走査型顕微鏡からもがん細胞への強烈な取り込みが観測された。この事実はがん治療やがん診断に広く応用できる。
ND1のシクロデキストリン空洞への包接または化学結合により抗がん剤や造影剤複合体を形成させることにより、がん治療やがん診断に応用できる。抗がん剤ドキソルビシンを用いて、がん細胞障害活性について実証実験での評価を行い、有望な結果を得た。がん診断への応用に関しても、X線3DCT解析により、イヌ胃がん、肺がんのがん細胞検出にX線造影剤を用いた実証実験にて、有望な結果が得られた。

新規性・優位性について

葉酸修飾シクロデキストリン(ND1)

本事業はがん細胞表面に過剰発現している葉酸レセプタータンパクに対して、抗体と同程度の標的指向性を有するクラスター型葉酸による高密度多重相互作用(ナノクラスター効果)を実現するものであり、他に例はない。単一の葉酸による相互作用に比して500倍の会合能力と8倍の集積力があることを実証している。がんの治療についてはドキソルビシンなどの抗がん剤を中心に開発し、熊本大、名古屋市大との共同研究を進めている。がんの画像診断については、京都大学、日本大学との共同研究を進めながら、X線CTや蛍光イメージングおよびPET/SPECTでの画像診断への応用を進めている。
ナノデックス株式会社を出願人とする5特許を保有している。1)国際公開特許WO 2009/041666(2007.9.30出願)US、EU、中国、日本で審査請求中、2)特願2010-057243(2010.3.14出願)、3)特願2007-131026(2007.5.16出願)特開2008-285567 審査請求中、4)特願2005-504018(2005.3.4出願) 審査修了、5)特願2007-233432(2007.9.7出願) 審査請求中

市場について

主なターゲット・市場の規模

がん治療については、1医薬あたり市場規模は数百億円/年である。主にメガファーマを対象に、本事業の中でin vivo試験データの出たものから共同事業を申し入れる。
がん画像診断については、一般に事業化までの年限が短く、結果が可視化できるメリットがあるので勝負が早い。このうち、蛍光イメージングは、がん検出造影剤の調製が簡単で、評価が目視で可能であるし、または内視鏡で可能であるので応用が容易である。画像診断企業での製品化への評価と共同開発研究費を得る。

市場での競争力

本事業での製品は、がん細胞への強力な集積を示すユニークな特許物質の応用によるもので他に例が無い。がん治療に関しては、製薬企業との共同研究を進めるとともに、メガファーマへの導出では5年間で総額5億程度の額を予定している。
がん画像診断に関しては、第一段階(in vitro試験)共同研究費をフロントマネーとして、問題が無ければ第二段階(in vivo動物試験)へ研究協力金が見込める。

実現性について

実施スケジュール

がん治療に関しては、現在のビジネスパートナーである製薬企業のサンンプル評価にあわせて、1−3月に本事業のがん治療に関する契約を予定
がん画像診断については、画像診断企業と共同研究契約を4月までに進める。

実施場所

神奈川県産業技術センター(海老名市)製品開発室

実施体制(従業員等)

現在は研究担当博士研究員2名、事務管理担当2名の4名だが、事業の進展、投資などにより、技術者4名以上と営業・管理3名以上の計7名以上増員を目標としている。

ビジネス・パートナー

営業顧問として、(財)木原記念横浜生命科学振興財団にお願いしている。経営企画顧問として福元 守氏に依頼している。また特許顧問として、長谷川国際特許事務所にお願いしている。製造の技術パートナーは鞄。本分子化学、潟Pムジェネシスに実績がある。サンプル出荷の実績は製薬企業2社である。

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