第95回最終選考会(平成27年6月5日(金)開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイディアの概要について
日本では脳梗塞などの脳血管疾患の患者が約130万人に達しています。脳血管疾患になると多くが手足の麻痺・拘縮する片麻痺(へんまひ)になってしまいます。この片麻痺のリハビリ治療において、病院から退院した後のリハビリの継続が、理学・作業療法士や介護人の人員及び訓練時間の限度により、難しい状況にあります。患者個人で継続することも困難なのが実情です。 当社では患者自身での手指のリハビリを補助する機器として、2014年6月にパワーアシストハンド(以下PAH)を発売しました。発売後1年弱で約200セットを販売しており、今年度中に500セットを達成する見込みです。PAHは空気圧を動力源とし、やわらかい動作を実現し、安心・安全な機器としてご家庭でも多く利用されています。今後、大量生産による原価低減やレンタル事業を広く進めていき、患者の方やご家族の方、医療従事者の方へ広く知っていただき、必要とされている方の多くにご利用いただけるよう事業展開していきます。
新規性・優位性について
PAHは、空気圧を利用してベローズ(蛇腹)の収縮・膨張を繰り返す事により、手指の安全で柔らかな動きを実現しています。既存の類似j商品で、手のひら側に装着する装置はありましたが、PAHは手の甲側に装置を装着することで、物を触る・つかむ・握るといった動作のリハビリを実現しました。PAHは、モーターではなく適度な空気圧を動力源とすることで、装置が異常動作した場合もリハビリ補助動作に過剰な力がかかることなく、安全に使用できます。また、これまでのリハビリ補助装置は病院や施設でしか使うことができませんでしたが、PAHは自宅でのリハビリを可能としました。
市場について
主なターゲット・市場の規模
・【個人】脳血管疾患(約134万人)が主因で要介護と認定された方:全国で約25.6 万人
・【施設】全国の介護老人保健施設3,931件、介護老人福祉施設6,590件、など
・【病院】全国の脳神経外科2,516件、リハビリテーション科5,216件、整形外科4,975件
市場での競争力
PAHの競合製品として、医療機器としての手指のリハビリ機器が存在します。これは麻痺側の手の内側に空気袋を装着し、この空気袋の膨張、収縮により手のひらと指とを同時に開いたり閉じたりする機器ですが、PAHは手指関節の外側に空気袋を配する外骨格構造で、物に触れる、物をつかむといった動作のリハビリが可能です。
実現性について
実施スケジュール
2014年6月 発売
2015年8月 出力向上機を発売予定
2015年度中 日常生活補助型PAHを発売予定
2016年度中 医療機器としての機器を発売予定
実施場所
株式会社エルエーピー パワーアシストハンド&レッグ事業部
実施体制
・当社役員(3名:兼務)
・当社従業員(4名:専任、1名:兼務管理)
ビジネスパートナー
・神奈川工科大学 先進技術研究所 山本 圭治郎 教授
・神奈川県総合リハビリテーション事業団 七沢リハビリテーション病院 山下 俊紀 院長
リスクとその管理
・遠地からの不具合指摘の頻発
⇒保守サポートの協力企業を募り、現地保守を可能にしてコストを低減する
・海外(特にアジア)への技術流出
⇒海外事業は欧米を優先的に進め、アジアは丁寧に信頼できる提携先を探す