第98回最終選考会(平成27年12月4日開催)
ビジネスアイディアのテーマ
ビジネスアイディアの概要について
先進諸国では5組の夫婦のうち1組が不妊症である。とりわけ少子高齢化が急速に進む日本の不妊症は、出生率の低下と人口減少に拍車のかかる原因として少子化対策基本法にその治療の支援が盛り込まれている。しかし、子供を望む不妊症夫婦は、膨大な経費を支出しているのが現状である。不妊症の原因は男女同率であるがメカニズムの複雑さから、その多くは原因を特定するに至っていない。
そこで肉体的、精神的にも負担の少ない不妊症原因の診断と治療法の開発を行ってきた。私たちは、古くから漢方薬の甘草が不妊症に効果的との言い伝えをもとに、マウスの体外受精試験を行った。その結果、人工授精率の低いマウスにおいて、人工授精時に甘草の水溶性成分を添加すると、全ての検体に受精率の向上が見られ精子の活性化などの成果が確認できた。また、牛において胚発生の向上が確認できた。そこで、甘草を製剤化してサプリメントとして市場に出すために起業化する事とした。
新規性・優位性について
不妊症原因の半数以上をしめる男性の精子を、甘草により活性化させることに挑戦したのは当社が初めてであり、ビジネスとしてサプリメント化して製造し市場に提供するのは、当社がさきがけである。
男性生殖能力をサポートするサプリメントとして、ビタミン、亜鉛、などが考えられるが、既知の有効成分に甘草を含まないものは、商品としては価値が低く患者に受け入れられない。甘草の活性成分は、今まで廃棄されていた非常に安価な成分であり、また私たちはこの成分の独占使用権を得ている。
市場について
主なターゲット・市場の規模
不妊症患者、その他子供がほしいカップルの健康補助食
市場での競争力
妊孕性を向上させるために、生殖細胞の分化に必要なビタミンやイオンがサプリメントとして販売されている。しかし、経口で活性を上げる可能性のある成分は、本成分以外存在しないことから、さらに経口でのデータが得られれば、本成分入りのサプリメントとして独占的である。
実現性について
実施スケジュール
会社設立後、
①成分の入手ルート(甘草成分の独占的買取契約)
②ピル等の製品化請負契約
③不妊症クリニックへ試供品を配布し、1年でデータを収集する。
その後、価格を決定し販売を開始する。
実施場所
本社は長崎県、①甘草成分は(アルプス製薬)から買い取り、②ピルの作成は未定、③東京および大阪の不妊クリニックを予定
実施体制
本人及び事務職員1名
ビジネスパートナー
甘草成分の仕入れ先、製剤企業、および不妊クリニック
リスクとその管理
データの収集には大学および実施病院の倫理委員会で審議される必要がある。認定された方法に従い試験を進める。甘草は生薬や食品として長い歴史を持ち、研究報告も多数存在する。副作用の用量は報告されていることから、それらの基準を守れば副作用は考えられない。ピル等の作成は専門業者に依頼する。