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川崎元気企業紹介
“ガラス・ガラスフィルムを通し、安全と快適を提供し続け未来の生活を築きあげる”をモットーに、株式会社総商は、建築用や自動車用などの幅広い分野でガラスフィルムの施工・販売を行なう。災害におけるガラスの飛散防止や、ビルの地球温暖化対策・省エネ対策など、フィルムを通じた安心・安全・快適な社会づくりに貢献している。
創業から34年、常に時代の先を読み「お客様に喜ばれる製品とは何か」を問い続け、時代にあった製品を追い続ける姿勢は変わらない。
最初は、アメリカから自動車用のガラスフィルムを輸入したことから始まった。まだフィルムが日本に登場していない1976年のことだ。30年以上前にも関わらず当時からアメリカでは紫外線をカットするガラスフィルムへの関心が高く、文化として根付いていた。日本では最初はなかなか理解してもらえなかったが、今後温暖化対策や肌への紫外線対策といった意識が高まり、新たな産業につながっていくと青木社長は確信していたという。強い信念を持ち地道に営業を続けた結果、ガラスフィルムは少しずつ浸透していき、現在、同社の自動車用フィルム卸販売は、国内シェア50%を超えるまでになった。建築用のフィルムについても、探究心は変わらない。大手メーカーと一体となり、飛散防止はもちろん、赤外線を87%カット、紫外線を99%カット、有害な電磁波の侵入も防ぐが、可視光線透過率は74%と高い透明度を保つ、高透明熱線反射・遮熱フィルムの開発に成功した。日本でも東日本大震災以降は、ガラスの飛散防止へのニーズが高まっている。
さらに、世界的に環境保全への取り組みが進み、フィルムは省エネを促進し、CO2削減になくてはならない時代に即した製品となっている。
このようにフィルム業界を産業として育ててきたのが青木社長だ。1枚のフィルムに情熱を注ぎ、フィルムのもつ様々な機能を時代のニーズに応じて引き出してきた。その動機づけとなったのは、より良い社会づくりの理念と顧客ニーズであった。かつて、川崎市内小学校で起きた児童が首を窓ガラスにつっこむ事故、それを知った青木社長は、フィルムを建物に普及させ、フィルムを貼ることでガラスの破損を防止し、子供の安全・安心を守りたいと考えた。まだ黎明期であった国内のフィルムメーカーと協議を進め、国産製品の販売に漕ぎ着けた。また、日本は地震が多いので地震対策も考えた。阪神淡路大震災の教訓から地震によるガラスの飛散防止としてもフィルムが役に立った。ガラスを割っても粉々にならないことから、住居の防犯対策として日本でCPマーク(防犯性能の高い建物部品につけられるマーク)の導入にも尽力した。
さらに、落石による新幹線の窓ガラス破損事故に伴い、JR西日本からの要望で窓ガラスの外面から施工できるガラスカバーフィルムをメーカーと共同開発し、JR西日本、JR東海の在来線車両の多くに、同社のフィルムが採用されている。もちろん、喫緊の課題である地球温暖化対策・省エネ化として、遮熱フィルムの需要も増えた。オフィスビルの窓ガラス向けのみならず、ショーウインドウなどにも採用され、納入実績を増やしている。
青木社長は、顧客ニーズを製品開発に繋げる橋渡し役を担ってきた。現在、フィルムJIS規格委員(建物・自動車)を務める青木社長は、フィルムの普及に取り組むとともに、メーカーの新たな製品開発に協力し、新しいフィルムの誕生に挑戦している。2002年には、業界初ISO9001品質マネジメントシステムも取得し、これからも現場ニーズを汲み取り、新製品開発へつなげ、お客様へよい製品・よいサービスを提供し続ける社内体制を、他社に先駆けて構築している。
また、川崎から世界へ、フィルム産業のグローバル展開、海外への製品の販路拡大も進めている。中国(上海、瀋陽)、ベトナムといったアジア地域をはじめ、南太平洋のモルディブでも導入の検討が進められている。オフィスや商業ビルの建設ラッシュが続く開発途上国へも展開し、CO2削減に貢献していきたいと海外企業との業務提携にも意欲的だ。次はどんなフィルムが日本で、世界で必要とされるのか、青木社長は日々新しいアイディアに挑戦し、より快適で安全に生活できる社会づくりを目指している。