オンライン版ネットワーク交流会&シーズ提供セミナーは、公益財団法人 川崎市産業振興財団の産学マッチングイベントです。弊財団連携大学の最新研究シーズをご紹介しておりますので、企業での新製品、新規サービスの開発や課題解決のきっかけとしてご活用ください。また、弊財団における産学連携の成果についてもご紹介しておりますので、ご参考いただければ幸いです。
概要
- 主 催
- 公益財団法人 川崎市産業振興財団
- 共 催
- 川崎市
- 閲覧料
- 無料
- 閲覧対象者
- 企業の経営者、技術開発・営業担当者、学校関係者等、その他産学連携に興味のある方
研究シーズの紹介※視聴には登録が必要です登録が必要です
2023年12月11日(月)〜12月22日(金)
機械・電気・情報
- 1)アルミニウム合金上へ耐久性に優れた耐食性皮膜を作製可能な新規表面処理技術の開発
芝浦工業大学 工学部 材料工学科 芹澤 愛 教授
アルミニウム合金は構造材料として多用されているが、実用には、高強度化に加え耐食性を向上させるための表面処理が不可欠である。
我々が開発した「水蒸気プロセス」は、水蒸気のみで材料の強度と耐食性を同時に向上させる世界初のプロセスであり、水蒸気のみを利用するため、超低環境負荷、強度と耐食性の同時向上、複雑形状部材にも適用可能であることがアドバンテージである。
本プロセスにより、耐酸性、力学的な耐久性を併せ持つ、従来の表面処理よりも優れた耐食性皮膜の形成が実現する。 - 2)人間の器用な職人技を伝承・再現するロボット技術
芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科 桑原 央明 助教
少子高齢化が進む中で、指先の器用な技術を持った職人技の伝承が課題になっています。この問題を解決するため、人間の指先の力覚情報をロボットにより抽出する技術を応用し、ロボットにより人間の技を再現する方法、またはロボットがその職人技を別の人に伝える方法について研究を進めています。今回、特に指先の力の入れ方をロボットが人間から学び別の人に伝える方法についてご紹介します。リアルハプティクス応用技術、製造工程の自動化、職人技術の形式知化方法にも相談可能です。 - 3)横浜国大の研究内容概要と、社会実装を希望する研究成果の紹介
横浜国立大学 産学官連携推進部門 山本 亮一 副部門長 教授
横浜国大の研究内容の概要として、本学の研究戦略の全体像や、本学を代表する研究者が集結する高等研究院での研究テーマなどをご紹介します。
また、社会実装を希望する研究成果の紹介として、気鋭の若手研究者の最新研究成果や企業様などとの協業を求めている知的財産などから、いくつかトピックスをご紹介します。 - 4)実務課題を実データで解き明かす実世界データ分析技術
工学院大学 情報学部 情報科学科 三木 良雄 教授
AI,データ分析ブームにより,先端的な技術と大量のデータがあれば実務上の問題解決法が導き出されるかのような誤解が一部にあります.本技術では町のクリニック同様に最初に問題の分類と定義を行い,その前診断に基づいて複数の問題発生の原因分析を実施,その結果から,総合的に問題の発生原因を究明します.事例として経営分析,製造業,新交通モデル等を紹介します。 - 5)技術文書の記述状況を瞬時に可視化する自動要約技術
工学院大学 情報学部 コンピュータ科学科 位野木 万里 教授
膨大で専門的内容を含む技術文書の要約情報を自動生成します。ChatGPTなどの大規模言語モデルと連携した対象文書の概要の自動生成結果に基づき、文書の構造やページ間の類似性からなる記述状況を自動的に可視化します。技術の変化の激しい自然言語処理AI技術を合理的に活用し、大規模かつ高度な内容の技術文書の理解を高速化し、イノベーションに向けた新たなアイデア発見に貢献します。 - 6)融雪・防曇可能な高透明・低屈折率薄膜ヒーター
工学院大学 先進工学部 応用物理学科 永井 裕己 准教授
ガラスと同程度の透明性をもつ新たな透明導電膜を形成しました。
この材料は,透明薄膜ヒーターとして注目されているスズドープ酸化インジウム(ITO)等に比べて安価でかつ低屈折率であるため,信号機や防犯カメラやセンサーなど高い視認性が求められる機器の曇り止め,結露・凍結防止,融雪などの活用が可能です。 - 7)音響伝搬解析技術およびその応用機器の性能向上に関する研究
神奈川大学 工学部工学部 電気電子情報工学科 土屋 健伸 教授
特に超音波の伝搬解析技術を軸に、超音波を用いて、体内や地球環境を調べる新しい計測技術の研究と開発を行っています。超音波はモノや人間の内部、海の中までを測るためのツールとして活用され、応用例としては胎児の成育や心臓の動きをリアルタイムに診断する装置が代表的です。近年では治療にも超音波が応用され、当研究室では超音波医用装置の安全性向上に関する研究を進めています。 - 8)展開車輪型階段昇降ロボットの開発
日本大学 理工学部 機械工学科 入江 寿弘 教授
高齢化社会において公共施設では順次インフラの整備が進みつつあるが、一般の施設や建物の対応は十分とは言えない。例えば,歩道と車道の縁石などの段差があるだけでも介助者なしでは横断は困難となる。これらの課題を解決する車輪型階段昇降ロボットを提案する。本ロボットは,平地での走行性能を維持しながら、,階段昇降では車輪を変形させて対応することが可能である。
医療・福祉
- 1)耳の裏側に取り付ける脳波センサー
工学院大学 情報学部 情報デザイン学科 田中 久弥 教授
耳の裏側に取り付ける方式の脳波センサーとその信号処理方法を開発した。この脳波センサーは補聴器のように自分で取り付けることができる。このセンサーから得られる周波数情報は医療用脳波計と同等であることを検証した。このセンサーを応用することで日常の認知機能のヘルスケアアプリケーションを開発することができる。またコンピュータと脳をつなぐ新しいインタフェース技術として福祉に応用することができる。 - 2)二つの不斉中心に隣接した三置換-Z-アルケンの一段階構築反応
工学院大学 先進工学部生命化学科 南雲 紳史 教授
顕著な生理活性を有する天然物の中には、二つの不斉中心に隣接した三置換-Z-アルケンを有するものがあるが、Z-アルケンの優れた合成法は数少ない。我々は容易に合成できるエポキシ不飽和エステルを基質とし、安価なボラン・THF錯体を加えるだけで、上述の部分構造を含む化合物を効率的に合成できることを見出した。また、糸状菌が産生する抗腫瘍活性物質トルビエルチン類の化学合成に本反応を適用しその有用性を実証した。 - 3)失神・気絶を予想し予防する今までない方法
哺育会 浅草病院/榊原記念クリニック/聖マリアンナ医科大学 聖マリアンナ医科大学(内科学循環器内科) 古川 俊行 内科部長 / 非常勤講師
全人口の4-5割は経験すると言われている失神、その中で一番多いと言われている反射性(神経調節性)失神。この失神を心拍数の変化や体の動きから発症の予想を行い、予防するアプリケーションの開発を目指します。罹患患者数に比べ治療方法の開発が遅れている失神分野ではあるが、開発者の豊富な失神の臨床経験より考えた出した予防方法の実現し、再発を繰り返し生活に困っている失神患者さんの活動性・生活の質を向上させる。 - 4)新たな肺保護戦略、排外換気方法の確立
聖マリアンナ医科大学 麻酔学 中川 雅史 准教授
重症呼吸不全では膜型人工肺を使用した肺保護戦略が行われることがあるが、血液が異物に触れるリスクは大きい。血液を異物に触れることなく呼吸補助する方法として腹膜を用いた換気法を考案した。腹膜は、腹膜透析で物質交換に利用されており、腹腔内にCO2を含まない還流液を還流することで毛細血管からCO2が除去できると考えた。ウサギを用いた腹腔内還流の効果は、肺を用いた換気に比べ、その60%ほどのCO2が腹膜から除去できることは明らかになった。 - 5)良好な精子を選別、単離するデバイス
順天堂大学 大学院医学研究科産婦人科学講座 河村和弘 教授
男性不妊の約80%が造精機能障害であり、その重症型である無精子症では、自然妊娠は不可能で、精巣内精子回収法(TESE)による治療が行われているが、TESEの精子獲得率は約3割と非常に低い。その原因として、精子を見出すことは非常に困難であり、高い技術と長時間の作業を要することが挙げられる。この技術限界を突破するため、人工知能とマイクロ流路を用いた良好精子の選別デバイスを開発し、特許登録した。 - 6)人工筋肉を用いた動作支援装置、ソフトロボティクス
近畿大学 理工学部 機械工学科 八瀬 快人 助教
高齢化社会の到来による若年人口の減少により、福祉・介護分野に限らず様々な分野で作業者の負担軽減を目的とした人間支援ロボットに対する関心や期待が高まっている。我々の研究室では、様々な空気圧アクチュエータの開発、それらの人間支援ロボットへの応用を行っており、今回は「空気圧ゴム人工筋を用いた衣服上のアシストウェア」及び「空圧駆動体幹姿勢保持アシストスーツ」について発表する。 - 7)セルロースゲルで形成されたシームレスカプセルによる物質内包技術
日本大学 理工学部 物質応用化学科 星 徹 准教授
ナタデココは優れた生体適合性、湿潤性、高強度を示すことから、人工血管、歯科材料などの医療用途やプラスチックとの複合材料へ応用がなされている。私たちの研究室では、新しい形状として中空かつ球状のナタデココを作り出すことに成功しました。
環境・農業・食品
- 1)環境にやさしい生分解性混合タンパク質製シートの作成
日本大学 短期大学部 食物栄養学科 太田 尚子 教授
タンパク質シートは、従来、食品や薬剤の包装シートとして広く使用されてきた。また、タンパク質シートは生分解性で、環境負荷の小さい素材である。しかしながら、特性制御の困難さから、合成樹脂のシートなどと比べ研究開発が進んでいない。
そこで、熱安定性を異にする2種以上のタンパク質を混合することにより、従来の単独タンパク質を用いたシートに比べて、曲げ強さ、及び伸展性に優れるタンパク質シートを開発した。 - 2)植物成長調節剤
神奈川大学 化学生命学部 生命機能学科 岡本 専太郎 教授
神奈川大学 化学生命学部 生命機能学科 中川 理絵 准教授
植物ホルモンの1つであるオーキシンの誘導体探索の過程で、植物に吸収され、植物体内での代謝を受けてインドール-3-酪酸(IBA)に変換されるIBA前駆体化合物を見出した。本IBA前駆体化合物を処理することで、IBAを持続的に植物体へ供給することが可能となる。また、処理系では側根や根毛の形成・伸長作用が見られ、今後、応用利用への展開が期待される。
デザイン・コトづくり
- 1)オンラインとオフラインを融合した新しい体験の創造
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 益子 宋 教授
デジタル技術の活用によって現実世界に新たな価値を創造していくことが、これからの社会やビジネスに期待されている。しかし、その利用方法や潜在的な課題を発掘することは挑戦的であり、ビジネス・技術の両面への理解やデザイン思考に基づく発想を必要とする。発表者はこれまで民間企業・大学研究機関にて先進的な技術を活用したサービス企画・研究開発といった実務経験を持つ。発表では、これまで取り組んできたIoT/AI/XR/5Gを活用した連携事例や、新しいユーザ体験を創出する取り組みを紹介する。 - 2)糖尿病患者のための携帯式インスリン保冷装置セットのデザイン
日本大学 芸術学部 デザイン学科 長瀬 浩明 教授
インスリンの携行が必要な糖尿病患者は夏場の外出時に、インスリンを保冷して携行しなければならない。これにより、長時間の外出(旅行、出張、キャンプ等)が困難である。また、注射針の交換時に針を落とす、誤って指先を針で指す可能性もあり、使い終わった針の始末には危険が伴う。
たくさんの方にご視聴頂き有難うございました。
オンライン版ネットワーク交流会は終了いたしました。
概要
- 主 催
- 公益財団法人 川崎市産業振興財団
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- 川崎市
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研究シーズの紹介※視聴には登録が必要です登録が必要です
2023年12月11日(月)〜12月22日(金)
機械・電気・情報
- 1)アルミニウム合金上へ耐久性に優れた耐食性皮膜を作製可能な新規表面処理技術の開発
芝浦工業大学 工学部 材料工学科 芹澤 愛 教授
アルミニウム合金は構造材料として多用されているが、実用には、高強度化に加え耐食性を向上させるための表面処理が不可欠である。
我々が開発した「水蒸気プロセス」は、水蒸気のみで材料の強度と耐食性を同時に向上させる世界初のプロセスであり、水蒸気のみを利用するため、超低環境負荷、強度と耐食性の同時向上、複雑形状部材にも適用可能であることがアドバンテージである。
本プロセスにより、耐酸性、力学的な耐久性を併せ持つ、従来の表面処理よりも優れた耐食性皮膜の形成が実現する。 - 2)人間の器用な職人技を伝承・再現するロボット技術
芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科 桑原 央明 助教
少子高齢化が進む中で、指先の器用な技術を持った職人技の伝承が課題になっています。この問題を解決するため、人間の指先の力覚情報をロボットにより抽出する技術を応用し、ロボットにより人間の技を再現する方法、またはロボットがその職人技を別の人に伝える方法について研究を進めています。今回、特に指先の力の入れ方をロボットが人間から学び別の人に伝える方法についてご紹介します。リアルハプティクス応用技術、製造工程の自動化、職人技術の形式知化方法にも相談可能です。 - 3)横浜国大の研究内容概要と、社会実装を希望する研究成果の紹介
横浜国立大学 産学官連携推進部門 山本 亮一 副部門長 教授
横浜国大の研究内容の概要として、本学の研究戦略の全体像や、本学を代表する研究者が集結する高等研究院での研究テーマなどをご紹介します。
また、社会実装を希望する研究成果の紹介として、気鋭の若手研究者の最新研究成果や企業様などとの協業を求めている知的財産などから、いくつかトピックスをご紹介します。 - 4)実務課題を実データで解き明かす実世界データ分析技術
工学院大学 情報学部 情報科学科 三木 良雄 教授
AI,データ分析ブームにより,先端的な技術と大量のデータがあれば実務上の問題解決法が導き出されるかのような誤解が一部にあります.本技術では町のクリニック同様に最初に問題の分類と定義を行い,その前診断に基づいて複数の問題発生の原因分析を実施,その結果から,総合的に問題の発生原因を究明します.事例として経営分析,製造業,新交通モデル等を紹介します。 - 5)技術文書の記述状況を瞬時に可視化する自動要約技術
工学院大学 情報学部 コンピュータ科学科 位野木 万里 教授
膨大で専門的内容を含む技術文書の要約情報を自動生成します。ChatGPTなどの大規模言語モデルと連携した対象文書の概要の自動生成結果に基づき、文書の構造やページ間の類似性からなる記述状況を自動的に可視化します。技術の変化の激しい自然言語処理AI技術を合理的に活用し、大規模かつ高度な内容の技術文書の理解を高速化し、イノベーションに向けた新たなアイデア発見に貢献します。 - 6)融雪・防曇可能な高透明・低屈折率薄膜ヒーター
工学院大学 先進工学部 応用物理学科 永井 裕己 准教授
ガラスと同程度の透明性をもつ新たな透明導電膜を形成しました。
この材料は,透明薄膜ヒーターとして注目されているスズドープ酸化インジウム(ITO)等に比べて安価でかつ低屈折率であるため,信号機や防犯カメラやセンサーなど高い視認性が求められる機器の曇り止め,結露・凍結防止,融雪などの活用が可能です。 - 7)音響伝搬解析技術およびその応用機器の性能向上に関する研究
神奈川大学 工学部工学部 電気電子情報工学科 土屋 健伸 教授
特に超音波の伝搬解析技術を軸に、超音波を用いて、体内や地球環境を調べる新しい計測技術の研究と開発を行っています。超音波はモノや人間の内部、海の中までを測るためのツールとして活用され、応用例としては胎児の成育や心臓の動きをリアルタイムに診断する装置が代表的です。近年では治療にも超音波が応用され、当研究室では超音波医用装置の安全性向上に関する研究を進めています。 - 8)展開車輪型階段昇降ロボットの開発
日本大学 理工学部 機械工学科 入江 寿弘 教授
高齢化社会において公共施設では順次インフラの整備が進みつつあるが、一般の施設や建物の対応は十分とは言えない。例えば,歩道と車道の縁石などの段差があるだけでも介助者なしでは横断は困難となる。これらの課題を解決する車輪型階段昇降ロボットを提案する。本ロボットは,平地での走行性能を維持しながら、,階段昇降では車輪を変形させて対応することが可能である。
医療・福祉
- 1)耳の裏側に取り付ける脳波センサー
工学院大学 情報学部 情報デザイン学科 田中 久弥 教授
耳の裏側に取り付ける方式の脳波センサーとその信号処理方法を開発した。この脳波センサーは補聴器のように自分で取り付けることができる。このセンサーから得られる周波数情報は医療用脳波計と同等であることを検証した。このセンサーを応用することで日常の認知機能のヘルスケアアプリケーションを開発することができる。またコンピュータと脳をつなぐ新しいインタフェース技術として福祉に応用することができる。 - 2)二つの不斉中心に隣接した三置換-Z-アルケンの一段階構築反応
工学院大学 先進工学部生命化学科 南雲 紳史 教授
顕著な生理活性を有する天然物の中には、二つの不斉中心に隣接した三置換-Z-アルケンを有するものがあるが、Z-アルケンの優れた合成法は数少ない。我々は容易に合成できるエポキシ不飽和エステルを基質とし、安価なボラン・THF錯体を加えるだけで、上述の部分構造を含む化合物を効率的に合成できることを見出した。また、糸状菌が産生する抗腫瘍活性物質トルビエルチン類の化学合成に本反応を適用しその有用性を実証した。 - 3)失神・気絶を予想し予防する今までない方法
哺育会 浅草病院/榊原記念クリニック/聖マリアンナ医科大学 聖マリアンナ医科大学(内科学循環器内科) 古川 俊行 内科部長 / 非常勤講師
全人口の4-5割は経験すると言われている失神、その中で一番多いと言われている反射性(神経調節性)失神。この失神を心拍数の変化や体の動きから発症の予想を行い、予防するアプリケーションの開発を目指します。罹患患者数に比べ治療方法の開発が遅れている失神分野ではあるが、開発者の豊富な失神の臨床経験より考えた出した予防方法の実現し、再発を繰り返し生活に困っている失神患者さんの活動性・生活の質を向上させる。 - 4)新たな肺保護戦略、排外換気方法の確立
聖マリアンナ医科大学 麻酔学 中川 雅史 准教授
重症呼吸不全では膜型人工肺を使用した肺保護戦略が行われることがあるが、血液が異物に触れるリスクは大きい。血液を異物に触れることなく呼吸補助する方法として腹膜を用いた換気法を考案した。腹膜は、腹膜透析で物質交換に利用されており、腹腔内にCO2を含まない還流液を還流することで毛細血管からCO2が除去できると考えた。ウサギを用いた腹腔内還流の効果は、肺を用いた換気に比べ、その60%ほどのCO2が腹膜から除去できることは明らかになった。 - 5)良好な精子を選別、単離するデバイス
順天堂大学 大学院医学研究科産婦人科学講座 河村和弘 教授
男性不妊の約80%が造精機能障害であり、その重症型である無精子症では、自然妊娠は不可能で、精巣内精子回収法(TESE)による治療が行われているが、TESEの精子獲得率は約3割と非常に低い。その原因として、精子を見出すことは非常に困難であり、高い技術と長時間の作業を要することが挙げられる。この技術限界を突破するため、人工知能とマイクロ流路を用いた良好精子の選別デバイスを開発し、特許登録した。 - 6)人工筋肉を用いた動作支援装置、ソフトロボティクス
近畿大学 理工学部 機械工学科 八瀬 快人 助教
高齢化社会の到来による若年人口の減少により、福祉・介護分野に限らず様々な分野で作業者の負担軽減を目的とした人間支援ロボットに対する関心や期待が高まっている。我々の研究室では、様々な空気圧アクチュエータの開発、それらの人間支援ロボットへの応用を行っており、今回は「空気圧ゴム人工筋を用いた衣服上のアシストウェア」及び「空圧駆動体幹姿勢保持アシストスーツ」について発表する。 - 7)セルロースゲルで形成されたシームレスカプセルによる物質内包技術
日本大学 理工学部 物質応用化学科 星 徹 准教授
ナタデココは優れた生体適合性、湿潤性、高強度を示すことから、人工血管、歯科材料などの医療用途やプラスチックとの複合材料へ応用がなされている。私たちの研究室では、新しい形状として中空かつ球状のナタデココを作り出すことに成功しました。
環境・農業・食品
- 1)環境にやさしい生分解性混合タンパク質製シートの作成
日本大学 短期大学部 食物栄養学科 太田 尚子 教授
タンパク質シートは、従来、食品や薬剤の包装シートとして広く使用されてきた。また、タンパク質シートは生分解性で、環境負荷の小さい素材である。しかしながら、特性制御の困難さから、合成樹脂のシートなどと比べ研究開発が進んでいない。
そこで、熱安定性を異にする2種以上のタンパク質を混合することにより、従来の単独タンパク質を用いたシートに比べて、曲げ強さ、及び伸展性に優れるタンパク質シートを開発した。 - 2)植物成長調節剤
神奈川大学 化学生命学部 生命機能学科 岡本 専太郎 教授
神奈川大学 化学生命学部 生命機能学科 中川 理絵 准教授
植物ホルモンの1つであるオーキシンの誘導体探索の過程で、植物に吸収され、植物体内での代謝を受けてインドール-3-酪酸(IBA)に変換されるIBA前駆体化合物を見出した。本IBA前駆体化合物を処理することで、IBAを持続的に植物体へ供給することが可能となる。また、処理系では側根や根毛の形成・伸長作用が見られ、今後、応用利用への展開が期待される。
デザイン・コトづくり
- 1)オンラインとオフラインを融合した新しい体験の創造
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 益子 宋 教授
デジタル技術の活用によって現実世界に新たな価値を創造していくことが、これからの社会やビジネスに期待されている。しかし、その利用方法や潜在的な課題を発掘することは挑戦的であり、ビジネス・技術の両面への理解やデザイン思考に基づく発想を必要とする。発表者はこれまで民間企業・大学研究機関にて先進的な技術を活用したサービス企画・研究開発といった実務経験を持つ。発表では、これまで取り組んできたIoT/AI/XR/5Gを活用した連携事例や、新しいユーザ体験を創出する取り組みを紹介する。 - 2)糖尿病患者のための携帯式インスリン保冷装置セットのデザイン
日本大学 芸術学部 デザイン学科 長瀬 浩明 教授
インスリンの携行が必要な糖尿病患者は夏場の外出時に、インスリンを保冷して携行しなければならない。これにより、長時間の外出(旅行、出張、キャンプ等)が困難である。また、注射針の交換時に針を落とす、誤って指先を針で指す可能性もあり、使い終わった針の始末には危険が伴う。