共同研究成果事例
共同研究で伝統食品『久寿餅』を科学する
~産学連携で解明する久寿餅原料のひみつ~ 株式会社住吉×東京農業大学
久寿餅は小麦でん粉を発酵させた発酵小麦デンプンから作られる和菓子である。江戸時代後期の関東地方周辺が発祥とされており、江戸の庶民の間では寺社参道の名物として親しまれてきた。株式会社住吉は大正6年から川崎大師門前で久寿餅の製造販売を行っている。長い歴史を持ちながらも、久寿餅の更なる可能性の追求に関心を持ち、産学連携による共同研究等を希望しているとの話が地元の川崎信用金庫を通じて弊財団にあった。そこで、弊財団産学連携コーディネータが対応いただける大学を探し、東京農業大学とのマッチングを行った。その後、久寿餅の各種科学的分析、及び久寿餅原料の他の食品への活用などについて共同研究を実施している。その中で、久寿餅原料(発酵小麦デンプン)からはグルテンが検出されず、グルテンフリーとなること、また、久寿餅原料を加えたシフォンケーキはよく膨らみ、さらに、加えないものに比べ柔らかくなる傾向があることがわかった。これらにより、グルテンフリーの食材、及び物性改良用途での活用可能性があることが明らかになった。本研究成果については、日本食品工学会第70回記念大会にて「久寿餅原料・発酵小麦デンプンの加工特性と応用」という表題で発表された。住吉は今後も久寿餅の魅力をさらに引き出すため、東京農業大学と様々な研究を実施していく予定である。
シフォンケーキに加えた久寿餅原料(発酵小麦デンプン)添加率と膨らみの関係